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アルジャーノンに花束を ダニエル・キース

SFの不朽の名作。
ドラマや映画化されたため名前は有名ですが
あまり小説は読んだことがない方が多いのではないでしょうか。

精神遅滞の主人公(チャーリイ・ゴードン)が手術の結果、
驚異的な頭脳を一時的に手にしながら再び元の状態に戻ってしまう経過を、
主人公本人が書いた経過報告の形をとってストーリーが語られていきます。
ちなみにタイトルの「アルジャーノン」は先行して知能が上昇する手術を受けたネズミの名前です。

最初から最後まで報告書の形式で描かれており、
一人称から離れることはないのですが、
他のキャラクターの内面についても、ありありと描き出しています。

最初の序盤部は、子供が書いたような誤字が散見されるひらがなで書かれた報告書から、
中盤は語彙力が足りないながらもしっかりとした文章になり、
後半になると冷徹な報告書へ、
最終部で最初の報告書の形式へと
だんだんと文体が変化していきます。

この名訳が物語の魅力をアップさせています。
しかし、序盤部のひらがなだらけの読みにくさが
この小説をとっつきにくくしている面もあります。
ここは耐えてください。中盤部からは一気にストーリーが展開していきます。

本小説、最大の魅力は不気味なまでの圧倒的なリアリティ。
まるでノンフィクションではないかと思われるほどです。

手術で知能程度が上がるという点についてはSFですが、
人の感情の動きや出来事については極めて現実的です。

知能が上昇する過程で、
今まで親友だと思ってきた職場の仲間がからかっていただけだと判り
万能の天才だと思っていた大学教授が手探りで研究をすすめている普通の人間だと理解しと
周りの人の知能をどんどんと追い抜いてきます。

その過程で主人公の誠実だった人柄が失われ
傲慢な性格へと変貌し社会とのつながりも断たれていきます。

知能が失われていくことがわかったときの
主人公の苦悩がまたリアルに表現されています。
最後には何もわからなくなってしまった主人公が
「ついしん(追伸)」を書き残すのですが、
これを読んだときは目頭が熱くなりました。

しかし、人間の人生を考えてみれば幼年から壮年へ
知能は上昇しますが、老年になるとだんだんと衰えていくことを
考えれば、私たちの人生をただスピードアップし、
知能の上がり幅を過剰に演出したものにすぎないのかもしれません。
そういう意味で言えば誰しも経験をした内容なのかも。
(痴呆になる過程を理解したまま経験した人はいないでしょうが、、、)

そう考えると知能というのもはかなく、もろいものであることを改めて思い出させられます。
毎日を大切に生きていかなければ、そんな感想を最後に持ちました。




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